大嫌いで大好きな人へ


わたしは地獄に堕ちた。


急に地獄の底に行く羽目になった。



渋谷すばるのグループ脱退とジャニーズ事務所退所というガセっぽすぎにも程がある話題がネット上にチラつき出した4月12日木曜。そこから現実味を帯びるまではそんなに時間はかからなかったな。


その週末4月15日日曜、9時35分FC会員メールから今まで見たことがない文面で11時より関ジャニ∞メンバーより大切なお知らせがあると報告があった。


嫌な予感しかしない。週刊誌のネタがまさかこんな形になるとは思ってもいない。手の震えが止まらないし、何をやってもうわの空。時間よ、止まってくれ、頼む。


1時間半の体感時間は2分くらいだった気がする。11時になった瞬間、わたしは地獄の果てに突き落とされた。

渋谷すばる脱退、退所」

全く意味が分からなかった。頭を鈍器で殴られた。人は衝撃を受けすぎると言葉も出ないし、なんの感情も湧いてこないのだと知った。

少しするとやっと感情が戻ってきた。

どうして?
なんで?

渋谷さんの言葉と思われる脱退を決意した理由がTwitterのタイムラインに溢れ出す。

文字が読めない。

拒絶したくて仕方ない事実しか書いていなくて、文字が読めない。いや、読みたくなかった。

感情の割合としてはこんな感じだった。

悲しみ:悔しさ:苛立ち=3:4:3

自分でもビックリしたけど、悲しい、ツラい、いやだ、という感情よりも憎悪の方が優っていた。

今まで大好きで大好きでたまらなかった人の口から出た言葉が鋭利な刃物のようになってわたしの胸に突き刺さる。涙が止まらない。

「申し訳ない」「海外で活動」「自分の音楽を追求」「ありがとうございました」

謝らないでほしい

辞めないでほしい

行かないでほしい


今までこんなにもすばるくんが大好きな音楽ができて、自由になれて、幸せでいてくれるなら、他にはなにもいらないと思っていた。


すばるくんが関ジャニ∞にいて、大好きなメンバーに囲まれてアホな事でたくさん笑って顔の笑い皺がもっと深くなればそれでいいと思っていた。


すばるくんは関ジャニ∞のためにソロ活動を頑張っていると思っていた。すばるくんは一生アイドルを続ける人だと思っていた。関ジャニ∞はおじいちゃんになってもずっとアホな事で笑い合っていると思っていた。



ちがった。

わたしはなんにも分かっていなかった。すばるくんのことも、関ジャニ∞のことも。

すばるくんのやりたい音楽は関ジャニ∞の音楽にはなかったんだ。すばるくんの夢はジャニーズにいては叶わないことだったんだ。


そんなことに10年間ずっと見続けていたにも関わらず気付かなかった自分が悔しかった。

それなのに21年間、ジャニーズアイドルを続けてきたすばるくんの気持ちになったら苦しかった。

すばるくんの言いたいことは分かるし、すばるくんの思いの強さに何も言えない、とか思いかけたけど、やっぱり納得なんていかない。

もっとタイミングというものがあるじゃないか。36歳になって人生あと半分、そう考えるのもわかる。けれど、アルバムもツアーも決まって、何本ものCMがあって、何個もレギュラーをやらせてもらえている、贅沢すぎる現実があるのに今関ジャニ∞を辞めなければいけない理由が全く分からない。右肩上がりでしかない今の関ジャニ∞から逃げるのか。ずるい。本当に身勝手だ。


残されたメンバーはどうするんだ。取り残されたわたし達はどうしたらいいんだ。


絶対に海外に行かなきゃいけない?一時活動休止じゃだめ?ジャニーズには残るではいけない?

とりあえず、七人が七人のままでいられる、もしくはもどれる状況をいくつも考えていた。

七人の関ジャニ∞が大好きだから。

けど、すばるくんの頭の中にはこんなこと一切生まれなかったんだろうな、と気付いたら虚しくなった。

自分が抜けることによってより絆が深まっているとまで言った。コイツ頭おかしいんじゃねえか?とまで思った。



応援することなんて誰でもできる、すばるくんを喰い止めることだけはメーバーにしかできない。なんで、なんで、もっともっと死ぬ気で辞めることを止めてくれなかったの、なんで。

止められるわけない。今のすばるくんをとめられるわけがない。メンバーのことも関係者のこともファンのことも何度も何度も考えて、自分が甘えてきたグループと事務所と縁を切ることまで決めて、誰にも頼れない海外という環境を自ら選択した一人の男を目の前にしてしまったら、だれも止められるわけがない。


こんなタイミングでこんな決断をしたすばるくんを受け入れ背中を押したメンバーはやっぱり紛れもなく渋谷すばるが居た関ジャニ∞のメンバーなんだ。



最後まで辞めることを泣いて引き止めてくれる親友がメンバーにいてくれてよかった。

ひとりの男の決断を尊重するしかないと背中を押してくれる幼馴染がメンバーにいてくれてよかった。

決別の場所で「これは門出だから」と祝ってくれる一応ビジネスで気まずい関係やらせてもらってますな人がメンバーにいてくれてよかった。

納得いかないファンが聞きたいことを全て代弁してくれてその上で最後の場に立ち会うことを決めてくれる最年少がメンバーにいてよかった。

別々の場所で頑張らなければ行けない現実を突きつけられても渋谷すばるという人間を愛してやまないオタクな人がメンバーにいてよかった。

グループ一世一代の記者会見の場に風呂場で腰を打ってドクターストップがかかって出席できないなんていう奇跡的に天才な人がグループにいてよかった。


すばるくん、関ジャニ∞でよかったね



それにしても、ファンは無力だ。果てしなく無力。何の力にもなれないし、存在意義なんてない。


やっぱりわたしは全てを見て聞いて考えた上でも今の現実を認めることなんてできない。


すばるくんの夢が叶うかもしれない。すばるくんがやりたい音楽ができるかもしれない。すばるくんの夢はわたしの夢でもあったから、嬉しいことなのに、なにも嬉しくない。


すばるくんは音楽を愛しすぎた。歌うことを愛しすぎた。すばるくんが愛した音楽がすばるくんをどこか遠いところへ連れて行ってしまう。


わたしはどこへ行ったらいいんだろう。今は前なんて向けないし、どこが前かも分からない。

すばるくんと関ジャニ∞からもらった思い出が多すぎて、大切すぎて、重すぎて。今は動くことすらできない。少しの間はこのままここにいてもいいかな。



脱退発表から5日間、有難いことに仕事が忙しすぎて、ちゃんと思い出す隙さえなかった。けど、気づけば泣いていて、ご飯も味がしなくて、寝不足が続いていたし、ちゃんと笑うこともできていなかったと思う。

身勝手すぎる判断をして七人の関ジャニ∞を奪ったすばるくんが憎くて仕方ない。相変わらず突発的で自由で気まぐれで身勝手すぎる判断をするところが大嫌いだ。後先考えずいつも静かにたった一人でなにかと戦って抱え込んでしまうところも嫌だ。


けど、悔しいけど、こんな判断をしてしまうすばるくんのことをかっこいいと思ってしまう。かっこよすぎて、ズルい。

どんなことがあっても、どんな未来が待っていようとも、わたしの中では、すばるくんがいつも一番で、最高のアイドルで、スーパーヒーローで、青春のすべてだった。やっぱり、やっぱり、大好きで大好きで大好きな人なんだ。こんなこと余計につらいじゃないか。





すばるくんは「自担」という言葉が嫌いだと言った。けれど、わたしは嫌いじゃない。わたしにとって「自担」は後にも先にも一人しかいない。すばるくんがたったひとりの「自担」だからだ。だから、これから先も何度だって言ってやる。


「わたしの自担は最高だぞ」って



だから、一生そう思いたいから、お願いだから、簡単に日本に戻ってこないでほしい。関ジャニ∞に帰ってこないでほしい。自分の力で世界で成功するまでは姿を見せないでほしい。



あなたの居場所はもうないんだから。



ただ、なにがあっても、どんなときでも6人の関ジャニ∞とわたし達はすばるくんの味方だと伝えたい。

そして、大好きな音楽を貫いてほしい。死ぬまで歌っていてほしい。頂点でもどん底でも。





lalala at rock bottom




2018.4.20